子連れLSE留学記(英国大学院留学)

2020年から子連れでLSEに留学している筆者の記録

55 気候と年中行事

冬頃に書こうと思っていて機会を逸していたことをふと思い出したので書くことにする。

 

ヨーロッパの夏は最高だが冬は辛いという話は渡英前からをよく耳にしていた。実際、冬はとにかく寒くて暗くて辛い。10月あたりからどんどん日は短くなり、11月・12月頃には午後4時前後にはすっかり暗くなってくる。日の出も午前8時ごろにようやくという感じで、あまりにも日照時間が短いため、NHSがビタミンDサプリメントで接種することを推奨するぐらいだ。楽しみも少なく11月下旬あたりから、とにかくクリスマスを楽しみに頑張るという感じになる。そのため、日本でも最近流行りだしているアドベントカレンダーというクリスマスまでの日にちを数えるカレンダー(24個窓があり、1日1つ開け中のチョコなどを食べる)が至る所で販売されている。近所のスーパーで売られている中にチョコなどのお菓子が入った安いものから、ちょっといいお店で1日1つ化粧品が出てくるものまで様々だ。そして、面白いことに、実際、クリスマスを超えると少しずつではあるが、日が長くなっていくことを日々実感するし、近所でも花の蕾が出てきたりして、春が近づいてきていることを感じる。そして、2・3月頃にあるパンケーキデーを迎えると、いよいよ春までのカウントダウンが始まる。イースターを迎えるころには、まだまだ寒い日も多くコートの出番もあるが、花も咲き乱れ、すっかり春だ。5月ぐらいから9月ぐらいまでは長い長い夏。朝は6時前から明るく夜は9時ごろまで十分明るい。そのため、普段8時前に寝かしつけをしている我が家では夏場は遮光シートを窓に貼らないと子どもたちは全然寝ないし、朝も6時台にもぞもぞしている。ただ夏と言っても気温はそこまで上がらず、最高気温が20度を切ることもざらだ。冬ほどでもないが夏も常に日差しに恵まれているわけではないので、よく晴れた日はこぞって公園に繰り出して芝生の上に寝っ転がって日光浴を楽しんでいる。湿度が低いのでそんな日でも過ごしやすいが、日差しはかなり強く、日本人の感覚ではそんな好き好んで日向にいなくてもとも思うが、貴重な日光を逃すものかという執念すら感じる。そして、体感だが、1日での最高気温は午後2時ではなくもう少し遅い午後3・4時あたりに来ているイメージ。

 

2年弱生活してみて、特にクリスマス、パンケーキデー、イースターという年中行事と気候がすごく合致しているのが印象的だった。宗教上の理屈を捨ててでもクリスマスを冬至にしたかったのも分かる。日本の場合、グレゴリオ暦を採用した際、年中行事の日付を旧暦からグレゴリオ暦に合わせる形でずらしたので、季節感と年中行事の乖離が生まれている(よく言われる例では、七夕が行われていた旧暦7月7日はグレゴリオ暦8月なのに、グレゴリオ暦7月7日に行うことにした結果、梅雨の時期になってしまった)。中国や韓国も旧暦からグレゴリオ暦に切り替えたが、その際、民間行事は引き続き、旧暦を使うことにしたので、そのような乖離は生じていないと聞いたことがある。

季節感(体感)と年中行事(儀式)が一致していることの重要さを感じて印象的だった。