子連れLSE留学記(英国大学院留学)

2020年から子連れでLSEに留学している筆者の記録

38 ロンドン生活⑤(車)

実は夏休みの間に車を買った。

私たちは日本で車を保有していなかったので、日本と比較できるわけではないが、しかしいずれにしても、英国で車を買うのはとても簡単だった。日本人から中古車を直接買ったというのもあるが、基本的に必要な手続きは、旧持ち主がDVL(日本でいう陸運局?)にオンラインで新持ち主を連絡し、その後、新持ち主もオンラインでDVLに登録するとその月から自動車税(約25£/月)の引き落としが始まる。その他、自賠責の加入と年1回MOT(車検。約50£)受けることが義務付けられている。

日本に比べると維持費用は安いようだ。何より手続きは全部オンラインで終わる。

 

 

車に乗っていて面白いと思ったり、日本と違うなと思ったことを何点か(ただし、私たちは東京ではほとんど運転をしていない)。

 

第一に、特にロンドンだと運転が荒い車も多いが、基本的に歩行者優先・保護が浸透している。例えば、イギリスでは横断歩道にもいくつか種類があるのだが、両端にランプ(?)のようなものがあるこのタイプの横断歩道に歩行者がいた場合、車は止まらなければならない。

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(画像はBBCの記事より拝借。https://www.bbc.co.uk/news/uk-england-london-47402269

日本でも横断歩道は歩行者優先のはずだが、信号がない限り、一時停止する車はそう多くなかった印象がある(数年前のTV番組で都道府県別の停止違反率を発表していて、私の地元は違反率が高い方だったと親から聞いたことがある)。

また、郊外を走っているとき、山道の合間合間に集落というか、人が住んでいるエリアを通るが、そのエリアは制限速度がだいたい3-40km/hになっていて、そこを抜けると同じ道幅・同じ程度の見通しでも急に制限速度は90km/hになる。制限速度はあくまで歩行者を守るために車側に課すものであって、歩行者がいないところでは自己責任で好きなだけ速度を出してくれというメッセージを感じる。

 

 

第二は、緊急車両優先がすごく浸透している。高速道路など片側2車線以上で緊急車両が後ろから来たら、全ての車が道の端に車を寄せて、車線と車線の間を緊急車両が走り抜けて行ったり、片側一車線で交差点手前だと対向車線の車が止まって待っている間に緊急車両が対向車線から交差点に入って走り抜けていく(日本のようにあまり減速せず、文字通り走り抜けていく)。

日本の場合、道幅が狭くてやりたくてもできないのかもしれないが、しかし、それ以上に緊急車両が来たら優先させるんだという雰囲気を強く感じる。ちなみに、緊急車両は車体にambulanceなどと書いてあるが、通常の文字と鏡文字が併記してあって、バックミラー越しでもはっきりと認識できているようになっているのも面白いと思った。

 

 

第三に、スピード違反の取り締まりに”卑怯”という概念がある(らしい)こと。これはこちらで有資格者に一度運転講習をしてもらったときに、講師の人が言っていた話なのだが、基本的に英国ではスピード違反の取り締まりであっても不意打ちは”卑怯”と忌避される。また、道路に出る警察官は自身の安全確保のためにイエローベストを着用しているので、すごく目立つ。そのため、日本のようなネズミ捕りを心配する必要はないらしい。また、高速道路に設置されているスピードチェックのカメラも必ず予告されている。

 

 

第四に、駐車場や有料道路のチェックが全てカメラで行われていること。駐車場では管理人がいるところはほとんどなく、勝手に入って、機械(又はスマホのアプリ)で支払いをして、勝手に出ていく。英国は高速道路が無料なので、有料道路は一部例外を除くとほぼないが、そこを通過する際には、通過前か通過後24時間以内にオンラインで料金を支払う必要がある。便利といえば便利だが、日本のように金を払わないと中に入れない・外に出られないという方式ではなく、入るのも出るのも自由だけど、金を払わないと(払うのを忘れていると)罰金を科される(100£程度)ので、こっちの方が怖いというか、日本の方式の方が親切なようにも感じる。

 

 

最後に、大きな幹線道路の交差点には、物乞いをしている人がいる。以前、このブログでも触れたが、ホームレス・物乞いの人の数を思えば、むべなるかなとも思いつつ、松葉杖をつきながら順々に車に近づいていき、信号が変わって車が動き出すと慌てて離れる人の姿を見る。駅などよりも小銭を渡している人を多く目撃するような気がするが、しかし、こっちの方が”稼ぎ”がいいとなると、危険な路上の方に彼らを誘因することになるんじゃないかとか、福祉サービスはどうなっているのだろうかなどいろいろ考えさせられる。

 

 

車で移動できるようになったので、この夏は行動範囲も広がり、新たな発見や気づきもあったのだが、長くなったので、今回はこのあたりで。

なお、私たちのようにベビーカーを要する子どもを連れての移動だと、公共交通機関を利用するより、自家用車を利用した方が楽ではあるが、自家用車がなくても生活に困ることはないことは強調しておく。