子連れLSE留学記(英国大学院留学)

2020年から子連れでLSEに留学している筆者の記録

34 LT振り返り(WAM)

PP4X6 Welfare Analysis and Measurement

 

実はMT終了時に振り返りをしようと思いつつ、し損ねていた科目。今年私が履修した中では唯一の選択科目で、これが一番大学院っぽかったかなという気もする。

 

アメリカは日本と比較して経済的格差が大きい」「日本では近年貧困率が上昇している」といった言葉は報道でもよく見聞きするが、「格差」や「貧困」ってそもそも何か、どうやって測定するべきなのか、というのがこの科目で学ぶ大きな目標。

MTでは所得にフォーカスして用語の定義・ツールなどを学んだが、LTでは所得を超えた格差、例えば、資産・職業・教育・健康・主観的幸福度などの格差について、どのように分析可能なのかということを学んだ。

MTの内容もLTの内容もなかなか面白かったので、時間があれば授業で扱ったデータについて日本のデータがどうなっているか調べてみて、それを使いながら授業の内容についても紹介してみたいと思っている(が、どこまでできるかはちょっと自信がない)。

 

授業の流れは、MT・LTで共通で1時間~2時間程度の事前に録音された講義を視聴、ライブで1時間のQ&Aセッションに参加、翌週1.5時間のゼミ(MTはキャンパス内で対面参加の学生とオンライン参加の学生の混合、LTは全員オンライン参加)というもの。

ゼミでは、ほぼ毎週事前に論文を読んできて、それに関する質問(この著者は〇〇についてどのような定義を用いているか、この論文とこの論文で用いられている分析手法の大きな違いは何か等)の回答を準備、3・4人で1つのグループが割り当てられていて、毎週1グループが回答についてグループプレゼンの形式で発表(最終成績には反映されない)、それに関してクラス全体で質疑応答という流れだった。

 

科目全体は正に好々爺という感じの教授が運営していたが、LTの講義とQ&Aは若い講師が担当、ゼミは教授と講師が時間帯に応じて分担という形だった。私は1年間教授の担当するゼミに参加し、教授はゼミで学生たちともっと議論したいんだろうなという雰囲気を感じながら、他の科目との兼ね合いもあり、ゼミの準備を毎週しっかりするというのがなかなか難しく、講義をとりあえず視聴するだけで精一杯という時期もあり、歯がゆいやら申し訳ないやらという感じだった。

 

LTになって講義を講師が担当することになったため、ゼミでの質問・プレゼンのテーマも講師が設定していたらしかったのだが、グループプレゼン後のフィードバックの時に、教授が「ここだけの話、私は今回のプレゼンのテーマ、ちょっと退屈だと思った」と笑いながら漏らしていて、教授や講師の微妙な関係性が垣間見えたのがちょっと面白かった。

 

この授業で得た私なりの一番の学びは、報道もそれを見聞きする我々も、指数が改善した・悪化した、ランキングが上昇した・下降したという「結果」にばかり注目しがちだが、どの指数・どのランキングに注目するのかという「問い」の方がより重要ということだ。