子連れLSE留学記(英国大学院留学)

2020年から子連れでLSEに留学している筆者の記録

50 LSE/MPA2年目・MT振り返り②(PP4J5)

PP4J5 Fiscal Governance and Budgeting

 

予算編成と財政政策に関するトピックで、予算理論(なぜ予算は増大するのか、複数プレーヤーの中でどういった予算が選択されるのか)、予算とタイムスパン(単年度会計・中長期予算)、予算と議会の役割、透明性、パフォーマンス評価、発展途上国の予算、分権化と予算権、会計検査について扱った。

履修する前に何を期待していたのか、今となっては言語化するのが難しいが、率直に言って、2年間で履修した科目の中で最もイマイチだった。理論と言っても、一言で言ってしまえば、政治体制が予算に影響を与えているという感じで、実際にいくつかの国の予算編成・会計検査について触れながら説明がされたが、その一方で、予算について国際比較ができるほど網羅的ではないという、個人的には少し中途半端な印象を受けた。

そういった意味では、PP478 Political Science for Public Policyと似た雰囲気だが、私としては、あれは英語で授業を受け、ディスカッションをする練習と割り切って、中身にそこまで期待していなかったこともあり、そこまで落胆はなかった。

 

授業の進め方も、講義+セミナーがセットになったような形で一気に3時間と、なかなか疲れる進め方だった。こうした変則的な(?)進め方ということもあり、基本は全て対面。正直、授業後半は集中力が切れてほとんど頭に入ってこず、後述のとおり、試験前にかなり焦る事態に陥った。一応、コロナ陽性で隔離が必要な学生などに配慮して、オンラインとのミックスと言っていたが、講師の声をマイクがほとんど拾えていなかったようで、オンラインで受けた学生から何も聞こえいと不満が漏れ聞こえていた。

 

評価はグループプレゼンテーション25%、試験75%。

グループプレゼンテーションは例年だと、実際に英国のAudit Committeeを傍聴しに行き、議論の内容を授業で扱った理論に沿って評価し、発表するようだが、今年度については、コロナ規制で傍聴ができないため、オンラインで公開されているビデオ・議事録を参照することに。あらかじめ設定された複数のトピックから個人が先着順で選び、グループで発表という形で、私は、新型コロナ対策のトラック&トレースのグループだった。

ビデオ・議事録をチェックは、最初は退屈そうな印象を受けたが、真面目に見ていくと、日本と明確な違いもあって意外と面白かった。

例えば、

・委員長は慣例として野党第1党から選ぶ(日本は基本的に与党)

・委員長自身がかなり積極的に質問をする(日本は司会・進行役で質疑はしない)

・質疑時間は与野党で特に差はなさそうで、ともに時に攻撃的な質問もする(日本は質疑時間のほとんどが野党、与党の質疑は基本的に”生ぬるい”ものになりがち)

・答弁者は次官など役所の事務方で大臣などの政治家ではない(日本はここ数十年の政治改革で答弁者を大臣や副大臣などの政治家にする方向に向かっている)

といった感じだ。

日本は英国と同じ議院内閣制を採用しているが、議会と内閣の関係性はかなり違うという印象を持った。

 

肝心のプレゼンテーションは、正直、メンバー間のコミュニケーションがうまくいかず、かなり苦労した。打ち合わせの時間を決めようにも全然レスポンスしない人、求められていることと違うことを中心に据えようとする人、打ち合わせで決めたことと違うことをする人...1人でやった方が楽だし、メンバーに足を引っ張られていると思う場面が多かったが、1年目のグループプレゼンでは散々他のメンバーに手を引っ張ってもらったので、1回ぐらいこういうことがあっても仕方がないと自分に言い聞かせていた。

 

試験の方は、こちらはPP419 Advanced Empirical Methods for Policy Analysisと異なり、当初からtake-home-assesment(オンラインで自宅から受けるテスト)と発表されていたため、気楽に臨んでいたが、気楽に臨みすぎて、直前にかなり焦ることになった。

試験は3時間で、5問中4問を選択して短めの回答をするPartAと5問中1問を選び短めのエッセイ程度の長さで回答するPartBの構成(配点は50-50)。幸い、クリスマスホリデーの間に行われたrivising session(講師が生徒からの質問に答える時間)が録画されアップロードされていたので、その解説を見て、PartAはなんとかなったが、PartBは過去一番に全くできず、正直、落としたんじゃないかと冷や冷やした。

サマータームに入って受け取ったFeedbackを見て、無事に合格点を超えていたことで安堵したが、コメントの内容をよく見ると、PartAの出来がよかっただけにPartBの出来にはがっかりしたと書かれていて、まぁそうだろうなと思った。