子連れLSE留学記(英国大学院留学)

2020年から子連れでLSEに留学している筆者の記録

51 LSE/MPA2年目・MT振り返り③(GI414)

GI414 Theorising Gender and Social Policy

 

Gender Institutionが提供する科目で、私にとっては、初めてSchool of Public Policy(SPP)が提供している科目以外の履修科目だ。この科目は、MSc in Gender, Policy and Inequalitiesの必修科目だが、MPAも履修可能となっていたので、履修手続き自体はスムーズだった。

なお、参考までに、他学部提供科目の履修規制について、ざっと調べた範囲では、①特定コースの学生しか履修を認めない、②特定コースの学生以外の履修も認めるが一定の科目を事前に履修(+一定の成績を残している)ことが必要、③特定コースの学生以外の履修も認めるが特定コースの学生に優先権がある(=定員に余裕があれば、特定コースの学生以外も履修可能)といったパターンがあった。

 

実は、特別履修したかった科目というわけではなく、LTに同じくGender InstitutionのGI415 Gender and European Welfare Statesを取りたいと考えていて、その履修に際して、GI414の履修が望ましいとあったので、それならばと、選んだ形だ。

 

授業の進め方は、1時間の講義(延長して1時間半近くなることがざらだったが)をオンラインで受け、1時間のセミナーを対面で行うという普通の形式だった。だが、セミナーは、1クラス10名程度を2グループに分け、グループごとに講義中に提示された課題について毎週発表することが求められ、これに苦労した。

まず、課題の内容が「マイクロクレジットプログラムについて調べ、どのような概念的フレームワークが使われているか説明せよ」や「〇〇を読んで、どのような概念的貢献や洞察を思いついたか」など抽象的でそもそも難しかった。

また、グループ別に毎週集まって議論するために、セミナーより早いタイミングでリーディングなどを終える必要があり、その分、時間的制約がきつくなることも、特にノンネイティブの私にとっては負担が増した。

加えて、以前の記事でも少し触れたが、学生の質がMPAとは違う(全体的に若い+欧米中心)ことも、しんどさを増す結果になった。

 

扱った内容も、序盤はconcept, operationalizeとは何かと言った概念の説明が続き(、しかもその説明も、概念とフェミニスト研究者がそれをどう定義しているかを次々と説明してくだけで、それらのつながりもあまり示されない)、しばらくこの科目の最終目的は何かよく分からず、悶々としていた。終盤の方で、Esping Andersenの福祉国家理論の説明に入ったあたりで、なんとなく見通しがついたかと思ったが、最後、認識論・存在論をめぐる哲学的な議論(実証主義と解釈主義)で終わり、消化するのにかなり時間を必要とした。成績は100%エッセイで、授業はMTで完全に終わったがエッセイの最終提出期限が5月上旬だったため、暫定成績もまだ明らかになっていない。

 

まさに履修している最中は苦労ばかりで、履修したことを後悔するほどだったが、振り返ってみれば、2年間で履修した科目の中で1・2位を争うぐらい、取ってよかったと思う科目だ。セミナーでの体験も、喉元過ぎれば、という面もあるが、日本の学校教育で落ちこぼれを体験していない私にとって、いい経験だったと言えなくもないと今は受け止めている。

エッセイを書く中で授業の理解も深まり、ただ、紹介だけされた概念のつながりがぼんやりとだが分かったことで、授業の価値がぐっと変わった気がする。何よりも、フェミニズムというと、日本ではなんとなく敬遠されている領域というイメージだったが、海外で学ぶことで印象ががらっと変わったことが、個人的には非常に大きかった。