子連れLSE留学記(英国大学院留学)

2020年から子連れでLSEに留学している筆者の記録

14 MPAあれこれ

Winter break に入ってすっかり気が抜けてダラダラしている。履修科目ごとの振り返りもする気力がないので、今回はMPAに関して感じたこと、気づいたことを思いついたままに書こうと思う。

 

以前書いたとおり、LSEの授業はlectureもseminarも1時間又は1時間半行われるが、最初に戸惑ったのは、時間割において移動時間が考慮されていないことだ。例えば、ある科目のseminarが10時~11時で行われ、その直後、11時~12時半に別の科目のlectureが入っていることがある。これは必修科目・選択科目に関わらず生じていて、履修授業を決めるときに時間が被っている場合(例えば、14時~15時半にある科目のseminarがあって15時~16時に別の科目のlectureがある場合)はclashしているとエラー表示になり、履修できないが、最初のようなケースではclashしているとは判定されない。

履修授業を決めるときにどうすればいいのかと少し悩んだが、授業が始まってみると、ほとんどの授業が定刻では始まらず、教授が雑談しながら、もう少し人が集まるのを待ちましょうと5分ほど雑談している。ある教授は、伝統的にLSEは定刻より5分遅れで授業を開始するのだと冗談めかして言っていた。

確かに1時間の授業と1時間半の授業があるので、日本の学部のときのように、移動時間を考慮して、一律に時間割を決めるのは不合理なのかもしれない。だが、定刻通りに参加できた場合は、数分とは言え時間を無駄にするし、定刻通りに参加できない場合、実際の授業開始時刻が教授の匙加減で決まるので間に合うか間に合わないかは運次第というのも、あまり合理的とは思えない。

とりあえず今のところは、seminar以外は全てオンラインなので、移動時間はほぼなく、zoomを切り替えるだけなのでそこまで不便は感じていないが、lectureも含めて全てキャンパスで対面となるとキャンパス内を走らなければならなくなるかもしれない。

 

 

授業で指定されているreading listsは基本的に全てonlineで閲覧可能、PDF形式でダウンロードも可なので、いまのところ、図書館で本を借りたり、紙の教科書を購入したりして持ち歩く必要は全くない。学部のときはよく図書館に行って論文をコピーしていたことを思うと隔世の感がある。
LSEでは、キャンパス内の建物に複合機があり、学生証で認証して利用するが、自分のアカウントに学部から£25振り込まれる(たしかA4白黒1枚£0.04)ため、しばらくは実質無料で利用できる。といっても、MTはほとんど使わなかったが。
図書館の勉強スペースはオンラインで事前に予約して指定された席に座る(新型コロナウィルス対策のため、基本的に1席ごとに間が空けられている)。以前はグループワーキングエリアもあったようだが、現在は利用不可になっており、また、換気のため窓が開いているようで結構冷える。そのため、クラスメイトの中でも利用している人はあまりいないようだ。

 

 

クラスメイトのうち、5割ほどはPCで、4割ほどはタブレット端末にペンでメモを取っている。私はPCを開きつつ、メモは紙とペンを使うという残り1割の人間でここでも隔世の感を感じる(私が学部生のときはほとんど全員紙とペンを使っていたよ)。

新型コロナ対応でも、いまだに紙とボールペンで記録をしてFAXを利用している、日本はデジタル化が遅れていると批判されていたなと思いつつ、紙とペンの方が早いので私はしばらく手放すつもりはない。日本にいたときに参加した勉強会でも、デジタル化の利点は早く記録できることではなく、それを共有したり検索することが容易であることとと説明されていて、記録の速さでは紙とペンに軍配があげられていた。

 

最後、脱線してしまったが、今回はこのあたりで。

 

図書館外観

 

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HPでも見かける螺旋階段。幅が広くとちょっと上り下りしづらい。

 

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がらがらの座席。

 

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13 保育園事情

以前紹介して1か月以上経過してしまったが、長子のナーサリーについて記録しておこうと思う。

 

takino20.hatenablog.com

 

日本の場合は各自治体に申し込みをするが、こちらでは直接個別のナーサリーに対して申し込みをするスタイル。自治体のHPやOfsted(the Office for Standards in Education)の評価、各ナーサリーのHPで情報を収集し、興味を持ったところに連絡を取っていく。レスポンスは正直悪いので、渡英前に既に住むところが決まっている場合で、渡英後すぐにナーサリーに入れたい場合は、日本にいる間からここまではしておくことをお薦めする。

希望すれば、ナーサリーの見学もできるが、新型コロナウィルスの影響で見学は受け入れておらず、テレビ電話で質疑応答だけ行うというところもあった。我が家の場合は、正直、あまり労力をかける気力がなかったことと、最寄りのナーサリーにたまたま日本語が話せるスタッフが1名いるということが分かり、見学もなにもせず、早速そこに申し込んだ。

 

そのナーサリーは半日(7時半~13時or13時~18時半)か終日(7時半~18時半)のいずれかを選択する。費用は公立と私立で異なるが、どのナーサリーでも満3歳になった次のタームから週15時間分の補助が出る(補助の時間より短い時間での保育は不可)、働いていて所得が一定以下の場合などは週30時間分の補助が出るが(これは園によって補助が出ないところがあるようだ)、我が家の場合、週15時間までの条件しか満たせず、残りは保育料として支払う必要がある。

 

長子は、最初は行くのを渋っていて、受け渡しの時は号泣していたが1週間ほどするとお気に入りのおもちゃを見つけたらしく、そのおもちゃ目当てで喜んで登園している。

朝8時半までに行けば朝食も出てくるようだが、我が家の場合は9時頃登園するのでスナック(10時頃に出る簡単な軽食)とランチが提供されている(フルタイムの場合は、午睡後にティータイムという名のおやつ、16時頃に軽食も出るそうだ)。

ただ、もともと偏食気味の長子、最初の一週間は一切のものを食べるのを拒否していて、ナーサリーに行けば昼食の用意をしなくていいと期待していたパートナーはがっくりしていた。しばらくすると、好きなメニューの時はお代りまでしているようだが、そうでないときは"Yuck"と言って食べるのを拒否しているらしい。

英語も徐々に理解しているようで、先生たちとも英語でなんとなく意思疎通できているようだし、家でもたまに英語をしゃべるようになった。Speakingで抜かれるのも時間の問題になりそうだ…

 

また、それ以外にも感じた成長として、これまで、こちらに来てから、公園で遊んでいたときに他の子が遊んでいると怖いのかその遊具に近寄れなかった(日本では気にせず遊べていたのに)のが、最近では全然気にせず遊ぶまでになっている。場合によっては、なんとなく一緒に遊んでいる雰囲気まで出していて、本当に子どもの成長には驚かされる。

 

日本の保育園とナーサリーの違いとして、

・入園前に子どものパーソナリティー なども含めて詳細な情報の提出を求められる

・セキュリティがしっかりしている(入園時に送迎者の顔写真提出、防犯カメラ設置、外から園庭も含めて内部の様子が全く見えない、送迎時に保護者は建物の中へ入ることができない、入口のドアには外側と内側の両方にキーロックがついている)

 ・登園時は着替えのみ持参し、他のものはすべて園にあるものを使用する(コップやタオルを持参する必要なし)

といったところを感じる。

 

そのため、どのように1日を過ごしているのかは、毎日渡される手書きのメモ(今日はこういった活動をした、ランチを食べたかどうかなど)の他は長子から話を聞いて想像するよりほかない。

幸いにも、長子はかなり口達者なので、いろいろ教えてくれるが、映像的なイメージが全くつかめないので、中を見学する機会があればいいのにと思っている。

12 LSE・MPA MT終了

先週でMT(Michaelmas Term)が終了した、MPAでの勉強も3ヶ月経過したことになる。なんとか生き残れたと言うのが率直な感想だが、今学期は一部最終成績に反映されるものがあったものの、進級に直結するようなことはそもそもなかったので、別に積極的に何かをして生き残ったと言うわけではない。

 

履修科目ごとの振り返りは、このブログでも別途冬休みの間にしようと思うが、全体的な振り返りを。覚悟はしていたが、まずはやはり英語で苦労した。LSEMPAは留学生が多いとはいえ、多くの同級生たちは英語で学士を取得しているようで、学士まで全て日本語、仕事でも英語を使う機会はほぼなかった私は英語のできなさではワーストクラスだと思う。そして、英語のできなさから、ほとんど学力全般に対して自信喪失状態になり、学期開始からしばらくの間は本当に辛かった。

その後しばらくするうちに、少なくとも授業の理解レベルについては、同級生と比べてもそこまで劣っているわけではないと分かり、多少は安心したものの、グループワークでろくに議論に参加できず落ち込んだりと、ちょっと自信を取り戻しかけてはまた落ち込んでを繰り返す日々だった。

 

また久しぶりに学問の場に戻って感じたのは、一つのことを深く考えて理解する姿勢を失いつつあったと言うことだ。仕事では上司からも取引先からも一言で言うとどう言うことかと求められることの方が多いし、異動のサイクルも1〜2年と短いので、最初から深く理解するよりも、とりあえずその場を凌げる程度の浅い理解で満足して、もし深掘りして聞かれたらそのときに調べると言うのが癖になっていた。もちろんこうした技も必要ではあるが、腰を据えて理解を深めるというのが特にここ1・2年疎かになっていたと思うので、せっかくこうした機会を得たのだから、少なくともこの2年間は、理解を深めるというのをしっかり意識していきたい。

 

そして、一見それと矛盾するように感じられるが、今学期はその場しのぎというかはったりの力も足りなかったように思う。前述のとおり、クラスでは自信喪失状態で発言する機会を多く逃してしまったり、グループワークでも如何にも自信なさげに喋っていたように思うが、はったりでももっと自信満々で話をした方が耳を傾けてもらえたんじゃないかなと感じた。そもそも、別に同級生たちも完全に理解していて発言しているわけではなく、たまに全然関係ない話を急にし始める人もいたが、彼らは自信に満ちていた。

ちょうどいまMPAのWhatsappグループでコースでの授業の在り方がちょっとした議論になっていて、ある同級生がもっと"positive failure culture"を持つべきだと主張していたこともあってこの点もより自覚的になった。

この議論については、また機会があれば記録しておきたいと思うが、私が自分のことに精一杯な中、コースの在り方や他の同級生たちのことを考えられている同級生は本当に尊敬する。

 

新型コロナウィルスの影響で、そもそもの渡航が遅れ生活の立ち上げに苦労したとか、同級生たちと授業以外の場で交流する機会が限られていたとか、ロンドン市内観光もままならず気分転換さえできる状況ではなかったとか、言えばキリがないが、そうは言っても、自分の力不足を痛感した3ヶ月だった。

 

今回に限った話ではないが、全体的に暗いな。

 

 

LSEの校章。英語圏ではビーバーは勤勉の象徴らしい。

ビーバーのように勉強しろ!というメッセージ。

 

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