子連れLSE留学記(英国大学院留学)

2020年から子連れでLSEに留学している筆者の記録

48 The Marshall BuildingとDiversity

時系列順に、まずは、MTの履修科目の振り返りからしようと思っているが、その前に大学生活の中で印象的だったことを1つ。今年の1月からLSEに新しい建物、The Marshall Buildingがお目見えした。

(The Marshall Building)

https://info.lse.ac.uk/staff/divisions/estates-division/lse-estate/development-projects/the-marshall-building

 

私は、この建物で講義やセミナーを受けることもなく、用事は特にないのだが、たまたまちょっと予定があって、足を踏み入れたところ、何やら馴染みのないピクトグラムがあった。

 

よく見たところ、どうやらトイレの表示でジェンダーニュートラルであることを意味しているらしい。実際に使ってみたが、扉の先は全て個室で手洗い場も個室内に全て設置されていた。

 

このジェンダーニュートラル・トイレについては、徐々に普及していて、性的少数者も含め誰もが利用しやすいと歓迎する声がある一方、女性が不利な立場に置かれると批判の声もあり、賛否両論のようだ。

 

BBC: Toilets: Men’s, Women’s or Gender-Neutral?)

https://www.bbc.co.uk/news/av/uk-55164675

 

LTで受けていた授業でも、EUでのジェンダー平等の取り組みが、性的少数者も対象にすることで、弱まる(one of them扱いされる)ことが懸念されているという話を扱っていたが、この件も、同じ問題を抱えているなと思った。

 

ただ、一方で、個人的に思い出したのは、日本の都立高校の男女別定員の報道。

現在、都立高校の定員は男女別に設けられており、結果的に女子の合格最低点が男子の合格最低点を上回っている、つまり、同じ程度の成績であれば女子の方が都立高校に入学しづらく、高校のレベルを下げたり、私立学校に行ったりする必要に迫られているという問題提起がなされていた。

その中で、男女別定員の維持を支持する現場の声として、トイレなどの設備が障壁として挙げられていた。このようなジェンダーニュートラル・トイレを導入すれば、その点は解決できそうだが、その場合、男女別定員の維持を主張する人たちは意見を変えるのだろうか、それともまた別の問題を持ってくるのだろうか。直観的には、後者のような気がする。結局、障壁とは、設備などの物理的なものよりも、人々の心理的なものが一番大きく、心理的な障壁さえなくなれば、物理的な障壁を解決するアイディアはどこかからでてくるだろう。

 

たかがトイレされどトイレ。

普段見ないものを目にする機会があってそこから今まで考えもしなかったようなことに興味を持ってちょっと調べてみたり、これまで見聞していたこととつなげて考えてみたり、そういった何気ない思考ができることも留学のよさなのかなと思った。