子連れLSE留学記(英国大学院留学)

2020年から子連れでLSEに留学している筆者の記録

44 LSE・MPA(キャップストーンプロジェクト①)

LSEMPA2年目唯一の必修科目であり、目玉コースともいうべきキャップストーンプロジェクト。

現実のクライアントからのリサーチ依頼を受け、5名程度のグループで半年ほどかけてリサーチを行い、最終的にレポートの提出とプレゼンをクライアントに行う、各グループにはスーパーバイザーとして教授が1名担当でついていて、定期的に教授と打ち合わせをして方向性の確認をしたり、アドバイスを受けたりし、最終的な評価はスーパーバイザーとクライアントがそれぞれ行うというもの。

 

クライアントは、英国や他の国の政府機関、国際機関、企業、NPOと多種多様で、リサーチ内容も「英国においていま進められているホームレスゼロ政策をどのように評価するか」「競争的な市場は生産性の高さをもたらすか」「自動運転の影響に対する政策立案」などホットトピックばかりだ。

 

夏休み中にだいたい20個程度のこうしたプロジェクトが、クライアントからの依頼書(Terms of Reference(TOR))と担当スーパーバイザーによる解説動画とともに提示され、学期開始早々、各自が第1希望から第5希望まで(重複可。例えば、第1希望を2つ、第2希望を2つ)を登録、希望に応じてグループが決定される。最初の説明会のときに、例年、全員第3希望ぐらいまでから決まっているという説明を受けて、当初、第10希望ぐらいまで考えていたが、そこまで心配しなくていいかと第5希望まで登録し、私は、無事、第2希望に決まった。

周囲の人もだいたい第2・3希望ぐらいで決まっていたが、中には第5希望になったと嘆いている人もいた。ただ、よくよく話を聞いてみると、第1希望に3プロジェクト登録し、第2希望以下を1つずつ登録していたところ、第3希望に決まり、実質的にはそれは私の第5希望なのに、事務からは第3希望でしょと言われたと憤慨しているとのことで、言い分が分からなくもないが、それは仕方がないのではと感じた。

 

私のグループ5名は、オーストラリア・インド・中国・メキシコ・日本と国籍もバラバラ、性別もちょうどいい割合でなかなかバランスの取れた構成になっている。なかには、5名中4名がアメリカ出身の女性というグループもできたようで、「別に悪くはないけど、このコースの売りの多様性はどこに行ったのという感じ」とそのグループに割り当てられた友人がこぼしていた。

 

学期当初の説明会のときに、コースディレクターが「キャップストーンプロジェクトについては、いろんなクライアントがいて、スーパーバイザーの関わり方もさまざま、メンバーの構成やそれぞれのやる気、キャップストーンプロジェクトをどれだけ優先しているか(人によっては就活優先かもしれない)もバラバラ、でもそれが人生だから楽しんで」と説明していた。昨年履修していたWAMの教授もよく「That is life! Enjoy!!」と言っていたが、英国人の人生哲学なのだろうか。少し気に入っていて、洗濯機のトラブルに見舞われたとき、(楽しめはしないけど)それが人生と自分によく言い聞かせていた。

 

閑話休題

 

そんなこんなで始まったキャップストーンプロジェクトも早くも2か月近くが経過している。リサーチの進捗はともかく、グループ内でのトラブルもなく、順調に進んでいる。前回の投稿でも触れたが、私のつたない英語でも、ちゃんと目を見て話を聞いてもらえているので安心する。日本の職場では目どころか顔も向けずにコミュニケーションを取ることも取られることもあったが、これからはちゃんと目を見ようと思った。といいつつ、家族内ですら実践できていないときがあるから、気をつけねば。

 

私は、これまでの人生で、基本的に自分は運がいいと根拠もなく感じているが、キャップストーンプロジェクトのグループ分けで改めて自分の運の良さを実感している。