子連れLSE留学記(英国大学院留学)

2020年から子連れでLSEに留学している筆者の記録

21 policy memoについて

新型コロナウィルスの影響で、政治学の今年の成績評価はプレゼンとエッセイ(policy memo)だけで行われることになっている。聞いた話だと試験では、授業で取り扱った主要な政治理論に関して、学者名・論文の発表年をひたすら暗記をする必要があったようなので、正直、試験が行われないというのは非常にラッキーだと思っている。

 

policy memoは、ざっくりいうと特定の国の政策課題を一つ選んでその課題の分析と解決策の提案を2500wordsでまとめろという、おそらくかなり基本的な形だ。もっとも、これまでIELTSの英作文ぐらいしかしたことのない私からすれば十分に高いハードルだが。最終的な提出期限は3月末だが、昨年の間に選んだテーマについて1パラグラフ程度のメモを書いて、そのテーマで進めてよいかどうかのチェックを受けていた。そして、今月中に再度途中経過を提出してfeedbackを受け取るというプロセスになっているので、ここ1週間ほどいろいろ調べ物をしてまとめている。

 

私は、日本における男性の育児休業取得率が極めて低いことを政策課題として選んで進めているが、制度を調べていて改めてその複雑さに驚く。

母子手帳交付や産前産後の健診、両親学級などは「母子保健法」、産前産後休業は「労働基準法」、産前産後期間中には給与に代わるものとして「健康保険法」に基づく出産手当金が、出産に関する費用の補填として同法に基づく出産育児一時金の支給、育児休業や育児を理由とした時短勤務などは「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」、そして育児期間中の育児休業給付金は「雇用保険法」、産前産後休業や育児休業期間中は健康保険料・厚生年金保険料が「健康保険法」と「厚生年金保険法」に基づき免除される。ついでに、出産などにかかった費用は、「所得税法」上の医療費控除の対象になる。(※いずれも、雇用されている労働者(いわゆる会社員)の場合で自営業者などの場合は若干異なる部分もある)

私も二児の親として制度を利用してきたのでなんとなくこういうのあったよなと調べていったが、初めて親になる人が一から調べようと思うとなかなか大変だ。各種制度が様々な法律に分かれているのはそれなりに理由のあることだからそれはいいとして、問題は情報発信の在り方だ。例えば、「育児休業」とインターネットで検索して上位に表示される厚生労働省のページがこちら。

 

www.mhlw.go.jp

 

レイアウトのこととか突っ込みどころはいろいろあるが、何よりこのページを見ても、育児休業給付金の話が全く出てこない。育児休業に興味を持って調べた人は平成21年にどんな改正が行われたかよりも、育児休業中の給料がどうなるかの方が気になるのではないだろうか。一事が万事この調子で、結局、法律の説明はしているが、ある人が特定の場面(今回は子育て)でどういう制度を使えるのかという説明にはなっていない。

会社員の場合、人事から説明があるからとか、子育てに関する情報をまとめている民間のHPがあるとか、それは言えばそうなのだが、肝心の厚生労働省のホームページがこれでいいのか…

 

ちなみに、介護休業に関してはこういった特設ページができていて、お金をかけている感じがする。育児休業もせめてこれくらいしてくれないものか。

www.mhlw.go.jp

 

本当はちょうど旧正月を迎えた中、11月にはあれほど"Happy Diwali"や"Thanksgiving"とかまびすしかったwhatsappに"Happy Lunar New year"や"Happy Chinese New year"とは1回も投稿がなかったことに関して感じたことも書こうと思ったが、長くなったのでこのあたりで。